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中高年のためのリフォーム術 2011年04月
 
中高年のためのリフォーム術
日々の、障害者や高齢者の住環境整備業務を通じて思うあれこれを綴ることで団塊の世代の応援歌としたい。
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折込チラシの間取りから-4
加齢による虚弱や老化に伴う疾患に対応できる建物の性能を
応老力と、とりあえずこのブログでは呼ぶことにします。

前々回のチラシのモデル住宅、平屋と2階建でしたが、2階建のほうは
1階に居室として4.5畳の和室があるだけでした。
平屋建はともかく、この2階建モデルでは1階全室を療養室とするか、
対面式キッチンのリビング・ダイニングルームを洋間としてリフォームするしか
対応居室を作るすべが無いと思いました。

電動ベッド1台を設置するだけで、ほぼ畳1.5枚分のスペースを要します。
従って4.5畳室にベッドを入れると3畳しかスペースが残りません。
そこに小さなテーブルや下着用の衣装棚があれば、介助での移動も容易ではありません。
しかもポータブルトイレが用意されれば、ご本人一人での移動もままなりません。
加齢対応の居室として最低6畳は想定していただきたいと思います。

手元に、今朝の新聞に折り込まれていた住宅チラシがあります。
15通りの間取りプランが掲載されています。
ひとつひとつ、その間取りの持つ応老力を検討しました。

チェック箇所は取りあえず2点だけ、
・トイレ室の応老力
・将来の居室としての応老力
それぞれ、将来必要なときにリフォームが容易であるかどうか○×を付けていきました。

トイレ室の応老力に×が付いたのは15モデルの内、9モデル。
この9モデルについては将来、対応改修が必要な身体状況になった場合、
トイレ室の位置変更を含めて大規模な改修が必要となります。

居室としての応老力に×が付いたのも同じく9モデルです。
1階に居室がまったくないか、6畳未満の面積の居室を×としました。

そのうち、両方の応老力に××とダブルで×が付いたのは6モデルでした。
×が一つも付かなかったのも同数の6モデルです。

ダブルで×印が付いた建物は、先行き改修より住み替えが現実的だと思われます。
応老力はほぼ見出せないモデルといえます。

このチラシの15プランを検討していて、この建築会社のプランには家族の成長や
生活の変遷が考慮されていないということを感じます。

15プランのうち比較的小面積で室数も少ないモデルには1階に居室がありません。
不釣合いに広いリビング・ダイニングルームは用意されていますが、居室は2階にだけ
配置されています。
・家族が病気やケガをしたときどこで療養するのでしょう。
・妊娠されたとき、大きなおなかを抱えて階段を上り下りするのでしょうか。
・ましてや老後は。

建物面積の大小にかかわらず各プランで印象的なのは、1階のリビング・ダイニングルームの
建物全体に占めるボリュームです。
・コストカットを行うためか
・はやりの省エネのためか

いずれにしろ、先行き大改造による居室設置が必要だったり、面積の拡幅が必要だったりすれば
本末転倒です。
子供たちが巣立った後の住まいや生活の在り様は考えても、その先まで考えを及ぼすことは
なかなかだと思います。

しかしスタート時、より応老力のある住まいを選択したり建築することで余計な費用が
掛かるわけでは在りません。
また今の体型に合う洋服がそのまま数十年後も着られるわけでもないのと同様に、住まいも
今の状況や流行だけで考えていると失敗します。

リフォームを計画する際にも、設備の取替えや資材の張替えに終始するのでなく、もう少し
お年を召されたご自分もしくは連れ合いとの生活を想像しながら計画を建てて頂いたらと
チラシを検討しながら思いました。


スレッドタイトルと内容が一致しない事もままありますので、ホームページに2011年4月までの過去ログの検索ページを設けています。  
 リスト→ http://jukankyo.web.fc2.com/blogl-list2.htm
 当社の業務の有り様については下記記事で。
 http://jukankyou.blog49.fc2.com/blog-entry-218.html
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質問-式台について
「折込チラシの間取りから」の続きは次回に。

ブログ右側に<ご質問など。>の欄があります。
この欄から時々ご質問が投げ込まれます。
大歓迎です。

お気づきで無いかもしれませんが、こうしたご質問を受けて過去の記事、さりげなく
説明不足の辺りを修正させていただいています。

時々は工務店さんからのご質問も頂いています。
先月も、そのご質問が切っ掛けで大分の工務店さんのお手伝いに行って
参りました。
建築関係の方も、お気軽にご利用ください。

コメントを良く頂く方に Junko mamaさん muccaさん がいらっしゃいます。

そのmuccaさんがブログを始められました。
クリック→ちょっとした工夫で効果抜群な 自宅での福祉住環境整備ノウハウ

事例の背景説明と対処策及びその効果まで分かりやすく説明されています。
また事前事後の写真も大きく、視覚からの情報も多く得ることが出来ます。
当ブログのリンク欄にもmucca101010(色々と、でしょうか?)でリンクしています。

表題のご質問について。
当ブログに訪れる方の検索ワードの上位にあるのが「式台」です。
今回のご質問の内容は、

「玄関框の段差が30cm近くあるので式台を設置したい。
しかし玄関土間が狭いため、式台を設置すると家族の日常用の履物を置くスペースが
なくなってしまう。
それでも安全を優先して式台を設置すべきだろうか?」

日常そう不便を感じていない玄関のスペースも、新たに巾30cm前後の式台を
設置すると、本当に履物を置くスペースが狭くなってしまいます。
ご質問の方の玄関も同じようなことでした。

式台の設置は手法であって目的ではありません。
目的はあくまで<段差の解消>です。
従って、フロアーの延長としての式台を設置するかあるいは土間の高さを
フロアーの高さに近づけることで段差の解消を図るかは、状況によって変わります。

ご質問の方のケースでは、一般的に木製の式台を設置する高さに土間のタイルを
貼ることをお勧めしました。
要は、靴脱ぎ台の設置とでも言えばよいのでしょうか。
但し、現状の土間タイルより明るい色調のタイルを貼るようにお願いしました。
暗くなりがちな玄関土間では、段差のある箇所の明示は安全につながります。

上がり降りに必要なペースが確定しましたら、靴脱ぎ台の上に日常用の履物を
置いていただいてかまわないと思います。


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 当社の業務の有り様については下記記事で。
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折込チラシの間取りから-3
両モデルとも脱衣室・浴室の取り合いは良く似ています。
違いは廊下側から脱衣室に入る、開きドアの位置くらいです。

洗い場は扉から真っ直ぐのスペースです。
浴槽は洗い場に平行に設置されています。
扉からT字型に浴槽にぶつかる配置に比べたらずっと良いと思います。

段差は当然ありません。
残念なのは扉の形状です。
浴室側への折り戸になっています。
せめて子扉付きのタイプですとまだしもですが、これではたいした開口巾は
期待できません。

折り戸の欠点は、扉を開けたときその折り戸が干渉して壁に手すりが
付けにくいことです。
そして洗い場で転倒したとき、折り戸に体が押し付けられていると救出が
容易でないことです。
そのままでも扉の取り外しは出来る仕組みになっているのですが、緊急時に
その対応はなかなかだと思います。

しかし何より致命的なのは、ここに使われている浴槽の形状です。
ユニットバスなのですが、採用されている浴槽は浴槽縁が盛り上がった形状を
しています。
以前はともかく、最近はフラットで薄く掴みやすい縁をした浴槽が主流なのですが
このモデルは違っています。
R面を強調した浴槽やこのように縁に意匠が施されている浴槽は見た目に豪華に
見えますが、それらのものを自分の体力下に従わせることが出来る間はともかく
一旦その体力がなくなった時は、その意匠性が行動を制限する要因となります。
言い換えれば、安全な利用が出来なくなるということです。

R面の多い浴槽は、感触は良いかもしれませんが姿勢保持に不安があります。
滑りやすい緩やかなR面にお尻が当たっています。
浮力で体が浮くたびに、自然にお尻が前にズッテいきます。
浴槽清掃の手を抜くと、入浴時大きなR面で足を滑らせてしまいます。

立っての入浴が不安になって浴槽縁に座って入浴したくても、浴槽の縁が盛り上がっている
ため座れません。

ご存知のようにユニットバスは工場生産品です。
したがって設置後、必要に応じて改修することは簡単ではありません。
ましてや、浴槽そのものの交換などまず不可能です。

左官さんによる在来工法の浴室であれば後日のリフォームも容易ですが
ユニットバスの場合は、慎重にその形状を検討する必要があります。

残念ながらこのモデルの水周りには、将来的に私がお手伝いできることは
あまり無いのかもしれません。

ご同輩および先輩諸兄、若いご家族にうかうか乗せられてはいけません。
慎重に検討を重ねてください、特に水周りには。
困難に直面するのは、他でもないあなたが真っ先なのですから。

次回は、このモデルでの居室予定室?について。


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折込チラシの間取りから-2
チラシの間取り図を見てまず思うのは、さてこのお宅で先行きリフォームを行うとき
どのような対処が可能かということです。
もっと有り体に言うと加齢や疾患には、このお宅ではどのような対応が取れるかということです。

架空のお住まいでなく建売であれモデル住宅であれ、現実にそこで生活が営まれる
現実の建物である以上、その想定する対処策も結構地に足が付いたものとなります。
このチラシでの想定案づくりは、結構良い自己修練になっていると考えています。

ひとは加齢による虚弱や疾患によって、今までと同じ生活を続けることが困難になったとき
運動やリハビリによって体力の増強や機能の回復でそれに対処しようとします。
しかし、それにも当然限界があります。

生涯スポーツの考え方。
今の体力では重過ぎるものは軽いものに変え、高すぎるものは低くする。
また、遠すぎるものは近くする。
そして継続する

住居環境でも同じことが言えます。
年齢や体力に合わせて変えていける、融通性のある住まい。
言い換えれば”ゆとりのある住まい=決め付けのない間取り設計”です。

ところで、先日の平屋モデルの間取り。
玄関ホールにトイレ室です。
ここしばらく見かけなかったトイレの配置です。
来客時の間の悪さはおいても、その拡張性は×としか言いようがありません。
どう考えても、玄関ホールをつぶすしかトイレ室の拡幅が出来ません。
しかもプレハブ構造です。

もう一つの二階建てモデル。
まわり階段の下の空間がトイレ室になっています。
これも、ここしばらく見かけなかったトイレの配置です。
天井の一部は階段が干渉して勾配天井となっています。
しばらく考えましたが良い対応策は出てきません。

両モデルとも”ゆとりのない住まい=決め付けの間取り設計”といえます。
新築時のトイレが、生涯当たり前に使えるご家族のためのおうちです。

ご家族の誰一人として、障害を持ったり支援を必要とする身体状態になることの
無いようにとのお祈りが一杯詰まったおうちなのです。
本当にそういうおうちがあれば良いのですが。

玄関ホールのトイレ室や階段下のトイレ室の欠点は、散々言われてきていることで
なぜいまさらという思いがしています。
そうしたノウハウや感性は蓄積されてきているはずだというのは
私の思い込みなのでしょうか。

そのチラシに記載されているポイント。
・太陽光発電
・エアコン一台で
・IHクッキングヒーター
・エコキュート
・オール電化ライフ

はやりです。
蓄積されてきたはずの感性はおいといて、今はエコライフ住宅なのです。

電気が途絶えるや否やほぼすべてのライフラインの途絶える生活。
エコライフ劇を成立させるために必要な小道具を揃えるため、
舞台裏で費やされる膨大なエネルギー。
このブーム、私はあまり賛成しません。

いずれにしろ、上記のモデルと同じようなトイレ室配置の住宅でお暮らしの
先輩諸兄には、この先何かとお覚悟が必要かもしれません。

次回は、同じモデルの脱衣室・浴室について。


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折込チラシの間取りから
仕事柄、住宅関係のチラシ広告は、新聞を読むとき無意識に横に取り置きます。
それにしても、これでもかと折り込まれているパチンコ店のキンキラのチラシ、
色使いもユニークですがコピーも意味不明というところがすごい。
「今日、店長は男になる!!」(性転換するのか?)
「フロアー長の昇進記念!」(まあ、おめでたいとは思うけど。)
背景には脈絡も無く、戦国武将や懐かしいアグネス・ラム。

それに比べて住宅関係チラシのおとなしく地味なこと。
まじめ、誠実さを前面に出すとこうなるのか。
蚊取り線香のCM、
秀治さんが息子の一徳さんに、「つまらん、お前の話はつまらん!」

まず目がいくのは間取り図です。
家族構成の変化や住む人の状況変化に、この間取りはどの位対応できるのか。

バリアフリーという言葉がそれなりに流布していたひと頃、特に水周りには
その配慮がアピールされていたように思います。
しかし、最近の風潮なのか、私がそう感じているだけなのか。
水周り、特に浴室とトイレ室への配慮があまり感じられなくなっているような
気がしています。

今、手元に今朝の折込チラシがあります。
プレハブメーカーの住宅チラシです。
2棟のモデルの間取り図画が、それぞれの完成立面図の横に描かれています。
一方が二階建て、もう一方は平屋です。

二階建てのほうは、階段下空間にトイレが配置されています。
平屋のほうは、玄関ホール横にトイレを配置しています。

ここを切り口に、しばらく企画住宅の将来の拡張性を考えてみたいと思います。


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昭和の営業・セピア色10
<昭和の営業・セピア色> たちまち10スレッドになってしまいました。
実は、田中君から聞いていたエピソードはまだまだあります。
・歩合給などあてにしていない先輩諸氏
・毎週、高速道路を飛ばす社長で係長?
・兄ちゃん売れたか
・本家の納屋より狭い
・たらしの芝さん、暇つぶしの契約
・クラさんの6番目の・・。
・ポン刀を持って支店周りの社長
・オマーン国族長接待
・ポケットチーフに包まれたダイヤモンド
・内部監察員の暗躍
・毒島課長、また逃走
・警察からトラ箱修理代請求が
・げた履きでリムジン
・別荘地販売のアルバイト

(項目を書いていても、本当に漫画みたいな世界だなと思います。
一旦この回で記録の筆をおいて、折があればまた書いてみたいと思います。)


つまる所、田中君のいた会社の営業方法は、
真っ赤にさびた鉄の塊800gを、1kgですといって持たせる。-対象物件
また別の形のさびた塊800gを、やはり1kgですと持たせる。-対象物件

次に、ぴかぴかの鉄の塊1kgを1kgですと持たせる。-本命物件
    <ズシンと手にくる重みと輝き。>
              
錯覚を利用したマジックです。
対象物件をそのまま売れば違法です。
本命物件を本来の価格で売る分には、事後何の問題もありません。

マジックは一晩で醒めます。
案内した翌日、店内に響く朝礼時の電話-受付女子職員、「・・さん、お客様からお電話です。」
だれ、誰の名を呼んだ?

毎年年賀状をやり取りする、当時のお客様がいるそうです。
ローン借り入れに年収が足らず、田中君の知り合いの会社で源泉徴収票を・・。
そんなことも出来た時代だったそうです。
買っていただいたのは、所沢駅へバス便の、水田に囲まれた建売群の1棟です。
今、思いもかけず大きな資産を形成できたと喜んでいるそうです。

今の時代、机に座ったままインターネットで様々な情報が得られます。
ネットサーフィンを続けるうちに、いっぱしの情報通になった気がします。
過大な夢は自分で修正していきます。
営業会社はその”情報通のお客様”の希望に沿った商品をお見せします。
データが合えば買わない理由はありません。

通信手段がポケベルと公衆電話、昭和時代の営業マン。
相場を無視した客の、夢壊しから営業が始まります。
品物を陳列してお選び下さいでは、まとまりません。
勢い、過激とも思われる手法が必要とされたのだと思います。

時代です。

それでも、<天突き体操をする営業マン達のセピア色の残像>に
ロマンを感じてしまう”ぼくと”です。

長々とお付き合い有難うございました。


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昭和の営業・セピア色9
「とんでもない奴がいる!」
朝礼中の支店内に、三輪店長のだみ声が響きます。
田中君たち新人は、何がなんだか分かりません。
先輩社員たちは情報を持っているらしく、神妙に店長の話を聞いています。

各支店毎の広告を新聞に掲載しているのですが、池袋支店の花形広告を
売っちゃった営業がいるらしいのです。
本来販売するための広告のはずですが、現実には集客のための広告媒体として
物件が掲載されています。
もちろん存在しないおとり物件を掲載すれば犯罪です。

すごく心を引かれる。
是非見てみたい。
とても購買意欲をそそられる。
そして、現実に売り物である。
しかし、現物を見たらとても買う気にならない。
それが池袋支店の広告物件です。

・築35 木平 6/6/4.5/台 335㎡私込 
 ・・駅 歩30 バ停10 介
 1,015万

分かりやすく書き直すと
・築35年経過の木造平屋建て 間取り 6畳 6畳 4.5畳 台所
・敷地面積 私道負担込み335㎡(約100坪)
・駅(西部線)徒歩30分 最寄のバス停留所まで徒歩10分
・仲介物件
・価格 1015万円

なぜこの広告が花形なのか。

この広告に反応する顧客は、沿線にはこだわっていない。
建物の在り様にもこだわらない。
交通の便が悪くともかまわない。
ひたすら面積の大きな物件(掘り出し物)を望んでいる。

顧客評価としては、不動産相場に初心(うぶ)な顧客であることが明白なのです。
営業としては、面積へのこだわりだけ修正すれば良いというお客様です。
この金額であれば、もっと交通の便が良くて間取りのしっかりした物件が買えます。
そして、この西部線沿線には1000万前後の建売がたくさんあるのです。

この広告で来社した顧客は、かなりの確立で案内即契約となっています。
この広告を収集してきた池袋店の営業マンには、どの支店であっても、その広告で来社契約した
売上の3%が自動的にグラフに配分されています。

田中君も何度か、この物件で来社したお客様を案内しました。
毎回、初めて来た顔で案内します。

延々と巾1mもない私道を、グダグダと下っていきます。
売り家の看板が出ています、間違いなくこの家です。
敷地は十数坪も有るでしょうか?
おまけに家は目もくらむほどの断崖絶壁に建っています。
よくもまあ、こんな広告物件を探してきたものです。

10日ほどすると、この広告復活していました。
本社で何とかしたのでしょう。
売っちゃった営業マンは当然・・・。

田中君も何度か、ブッシュウ(広告物件収集)に出されました。
街の不動産屋さんを廻って、扱わせてもらえる物件を収集して廻るのです。
しかし、田中君の会社が広告物件を集めようとしていることは業界では
すでに周知のことですし、自分のところで売れる優良物件を
廻してくれるはずがありません。
要は、営業力の訓練が主目的のようです。

その土曜日、田中君は案内予定がありませんでした。
”華の土曜日”に予定がないのは、席にいても針のむしろです。
次長の温情かどうか、ブッシュウで外に出されました。
田中君も、不動産店舗の訪問にかなり慣れてきています。
建物の見た目と会社名で、不動産関係と見当が付くようになっています。

ガラス戸に、・・商事、
「お世話になります。○○株式会社と申します。何か私どもで・・」
引き戸を開けるや否や、頭を下げながら挨拶をします。
「何か私どもで・・?」
挨拶をしながら徐々に頭を上げていきます。

正面にソファーセット。
足を広げて座っている数人のお兄さん方。
上方には大きな神棚とずらり並んだ弓張り提灯。

田中君、一瞬にして状況を読み取りました。
相手も一瞬「あん?」。

田中君、火事場の馬鹿力?やけくそ?
「当社は不動産を扱う会社ですが、こちら様で扱っている物件で・・」
頭に浮かんでくる言葉を必死でつないでいきます。
「よろしくお願いいたします。」と締めの言葉。
もう頭の中には、何も浮かんできません。

ソファーの真ん中に座ったお兄さんが、
「兄ちゃん、残念やけどあんたんとこに預けられるもんはない。名刺でも置いてって。」
と言った様な気がします。

どうやって、そこを出てきたか覚えていません。
駅までの道、足がギクシャクしていたことだけはしっかり覚えている田中君です。


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昭和の営業・セピア色8
ガススタンドの周りの木々でせみが鳴いています。
初夏になりました。

営業車のガス入れにも慣れてきた田中君です。
順番待ちのタクシーに挟まれてバックで並んでいます。
タンクに流し込む石油給油と違い、LPガスの給油?は独特です。

バックで装置に近づき、ナンバープレート裏のコックに自分でガスホースをつなぎます。
このホースがごく短いので、バックでのアプローチには慣れが必要です。
つなぐ時もはずすときもプシュツ、プシュツと音がします。
家庭用のガスほど強くはありませんが、ガス独特の香りがそこら中に漂います。
給油?量は目検討です。
トランクに鎮座するガスボンベの小さなのぞき窓、この小窓に液化したガスが見えればOKです。

順番待ちしながら田中君は、数日前の案内を思い出しています。
5回目の訪問でようやく案内に引っ張り出せた田中君のお客さまです。
田中君としては初めての高額物件のお客様でした。

1000万円までを低額物件、1500万を超えると高額物件といっています。
1000~1500万円までは特に呼び名はありません。
扱う物件は、原則新築の建売です。
2000万を超える建売は販売できなかった場合のリスクが高いので、業者もめったに
企画しません。

今回案内した物件は、世田谷の古い邸宅を分割した土地に建てた建売です。
脇役専門でしたが、有名な女優さんのお住まいでした。
2300~2500万の4区画に分割して販売されました。

自分のお客様ですから、案内コースは田中君が組まなければなりません。
まだ厚みの薄い田中君の物件カードに、高額物件のデータなど1件もありません。
この支店で高額物件といえば、毒島課長のところの平田係長です。
低額物件の最右翼が倉持係長なら高額は平田係長。

次長を通じて、営業のお願いをします。
「日曜日の何時、10時から?大丈夫ですよ。空いてます。」
田中君と打ち合わせをします。

・予算は 2300万前後
・勤務先 商社系の繊維会社 一部上場
・希望  中古物件 とにかく土地を広く
      建売不可
・地域  23区内 より都心に近い場所

「それで来店なの、駅待ちなの?」
「吉祥寺駅10時待ち合わせです。」
「フーン、駅待ちかー?分かった、準備しておくから前日に案内の再確認をしてね。」

「初めてお目にかかります。今日ご案内させていただく平田です。」
駅近くに止めた営業車内で平田係長が名刺を渡します。
名刺には「営業課長 平田・・」と書かれています。
元銀行支店長の平田係長です。
これが店長の肩書きであってもなんら違和感はありません。

平田課長?の言われるままハンドを握る田中君です。

1件目 中古物件
2件目 中古物件
3件目 建売
4件目 建売
5件目 中古物件

「それではお返事をお待ちしております。」、吉祥寺駅。
平田課長、最敬礼でお見送り。

「係長、有難うございました。お疲れ様でした。」
「いや、お疲れさん。案内物件が多かったから疲れただろう。」
支店に帰る車中での会話です。
かれこれ6時間ほどの案内でした。

「あのー係長、本命は最後の中古物件ですか?」
「どうしてそう思う?」
「いえ、それまであまり案内物件の売込みをされなかったのに、最後の中古物件のときは
結構あれこれ売り込んでいたようでしたから?」

係長による今日の案内の解説です。
・駅待ちで案内を受けるお客様には、
 入店することで勧められた物件を断りにくくなるのではとおびえるタイプと
 まだまだ本気でなく、さらっと案内させて情報だけ収集すればよいとするタイプがある。
 今日の客は後のタイプ。
(だから、案内件数を増やした。)

・1件目と2件目の中古別件はそれぞれ欠点があった。
 素人が中古物件から掘り出し物をと思っても、プロが噛んでいる以上そんな甘い話は無い。
 それを分かってもらうための物件だった。
 こちらからはあえてその点は話さなかったが、自覚されるように仕向けた。
(プライドを傷つけないこと)

・3件目の新築は場所は良くないが、建物はそこそこの2000万の物件だった。
(新築も悪くないと思ってもらう)

・4件目が本命。

・最後の中古物件は、本来の中古でというお客様のご希望を忘れていませんよということと
 4件目を勧めているのではないというポーズを示すため。

「今日のお客さんは、
”案内してくれた課長は、最後の中古物件をあれこれ言って勧めていたが
冷静に判断すれば、私は4件目のあの新築がベストだと思っている。”
とか話していると思うよ。」

「高額のお客さんの場合、不動産の営業マンに説得されて購買を決めたというより
自分の知識・判断力で自分が決めたと思わせることが大事なんだ。
田中君はどのお客さんより若いんだから、説得じゃなく上手に情報をお客に渡して、自分が決断した
と思わせる営業をしたほうが良いね。」

案内のお客様は、4区画のうちの2300万の物件を契約されました。
有名な女優さんの邸宅だったというのもプライドをくすぐったようです。

本当に営業は奥が深い。
しかし、まだまだ本当の深さを覗ききれていない田中君でした。


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昭和の営業・セピア色7
(怒涛の書き込みが続いています。”式台”や”手すりの取り付け”などで検索されて
 このブログに来られた方は、違うジャンルかと戸惑われているかと思います。
 いつかは、知人の田中君の経験を記録しておきたいと思っておりました。
 もう少しお付き合いください。)


初の案内から1ヶ月が経ちました。
渋谷店で仮契約したお客様も、契約が完了し工務店サイドに業務が移っています。

その契約金額の20%分やその他のヘルプで、田中君の先月のグラフも400万円ほどに
赤い棒グラフが伸びていました。
ただし、その月までは田中君は固定給ということで、次長の判断で最終的にはその売上は
他の課員に分配されています。

毎月始めに、女子社員が手作りのグラフ用紙をロッカー後ろに貼ります。
営業マンの1ヶ月の奮闘が赤い棒となって日々上に上っていきます。

最終営業日(要は月末)は、各課長さんはとても忙しくしています。
どの課が店内で売上1位になるか、全店ではどこの課が1位か
はたまた店としてはどこが、そうした情報のやりとりです。

最終日の夜中の12時までに手付金を預った契約が、その月の売上として認められます。
本社への現金入金は翌月1日の午前中までとなっています。

ここで各課の長の駆け引きが始まります。
トップを狙う課長はぎりぎりの数字でトップをさらいたいと考えています。
余力(数字)は翌月に回したい。
手付金を預って正式に契約が挙がっている契約も、いまだ手付金未収と申告すれば
翌月の契約として申告できます。

虚虚実実の駆け引きです。当然そこには長としての評価(報酬)が懸かっています。
この辺りに毒島課長の事件の芽があります。
直属に銀行出身の平田係長が配属されているのは偶然ではありません。

年間8割は平島次長の課がトップを取っているようです。
本社の契約管理課との密接度が他の課長さんたちとはまったく違うという噂です。

一方課員は、おおよそ自分の今月の成績は分かっているので、いまさらという感じです。
三々五々時間を見計らって支店に帰ってきます。
契約が最終日になって、もつれている課を除いてやれやれという感じです。

せっかく積み上げた赤線グラフも、明日の朝出勤したらまたゼロからのスタートです。
真っ白いグラフを目にした時のストレスは、営業マンでないと分からんと田中君は言います。
酒でも飲まなければやっていられません。

夕方7時以降は、平日でも店内での飲酒が黙認されているようです。
だれかれの机をかまわず開けて、つまみを取り出しています。
ましてや今日は〆(シメ)の日です。

田中君が帰ってくると、通用口にビールのケースとダルマの箱が天井一杯積み上げられています。
「小森主任、これはなんですか?あした、棟上でもあるんですか?」
「うん、これは工務店から提供のシメ用の酒。全部飲み終わらないと帰れないから。
しっかり飲んで。」
課の机の上にはつまみが山になっています。

「おう田中君、お疲れさん」、次長はすでに赤い顔です。

9時になりました。シャッターが閉められます。
ほぼ全員が帰社しています。
三輪店長のシメの挨拶です。「・・・ということだからしっかり飲んで憂さを晴らしたら
明日からまた・・」終わるや否や軍艦マーチから始まります。

8トラックのカセットが突っ込まれ、各自歌の披露が始まります。
拍子は手拍子でなくガンガンです。
課長や次長の机の引き出しの扉が、ビール瓶でガンガン叩かれています。
来店したお客様から見えない引き出しの扉が、でこぼこになっているわけが
ようやく分かりました。

絵にも描けない♪、すごい風景は割愛。

翌日、店内はすさまじいことになっています。
二階の接客フロアーには、そのまま泊り込んだ営業マンが寝ています。
二日酔いの頭を押さえながら大掃除です。
リースの植木が鉢から引き抜かれて散乱しています。
しかし、なんといってもその匂い。
したがって、この日に案内予定を組むことはどの課もありません。
大掃除がすんだところで皆さんサウナへ直行です。
田中君もここに入社して初めてサウナを経験しました。

この切り替えがあってこそ、またゼロからのスタートが切れるのかと
田中君も思っています。

しかし、これが毎月末ですか。


スレッドタイトルと内容が一致しない事もままありますので、ホームページに2011年4月までの過去ログの検索ページを設けています。  
 リスト→ http://jukankyo.web.fc2.com/blogl-list2.htm
 当社の業務の有り様については下記記事で。
 http://jukankyou.blog49.fc2.com/blog-entry-218.html
昭和の営業・セピア色6
お酒のせいで多少大胆になった田中君、カラミ加減で大山係長に言います。
「仮契約した新築は本当にいい物件でした。最初からあそこに行けば
良かったんじゃないですか?」

「最初に見た中古の物件は覚えてるか?」
「はい。エーと、私道込みで28坪。」

「金額は?」
「たしか、1300万台です。」
「あの中古は、本当は900万だ。」
「エッー!」

「次の新築は?」
「1350万円でした。
「あれは、1100万。」
「エッー!」

「それじゃ最後の新築も本当は違うんですか?」
「あれは本来の価格で見せた。」

次長が言います。
「田中君、1220万の物件をそのまま今日のお客さまに見せても、もともと中央線沿線で50坪
位の現実離れした希望で来ておられるのだから、沿線が違う・敷地面積が違う、
で見にも行かないでしょう。
こういう手法で案内したからこそ、本来の値段のものが輝いて見えた。
君もお客さんと一緒に感動したんじゃないの。
営業に慣れるに従ってそういう感性も無くしていくもんだ。
今日の感動をいつまでも覚えておけば、必ず営業に役立つからね。」

「タナカよー、無いもんを売った訳じゃない。今の相場でこのお客さんに一番合う物件を
プロの俺が探して案内したんだ。
今回決められなかったら、あのお客さんに、次に購買意欲が出るのはずっと後に
なるかも知れん。そんときはあれと同じ条件の物件はもう手に入らないぞ。」
と大山係長。

田中君の初営業の夜は、酔いと混乱でぐちゃぐちゃです。
だけど田中君の試練は、まだまだ続きます。


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釣 書(つりがき)

いもがらぼくと

Author:いもがらぼくと
「城山の鐘 なりいでぬ 幼なかりし・・」城下町・宮崎県延岡市の地で、疾患を持たれた高齢者の住環境整備や老後に備えたリフォームを専門とした建築会社「住環境デザイン社」を経営しています。

年齢は団塊世代の末席。
趣味は「釣り道具の手入れ?」としておきます。



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